太陽の竜と闇の青年

「少し話したいことがあるんだが……」


私は不思議に思いながらも、おばちゃんに宿屋の中に入れてもらった。


「で?話って何?」


粗茶をおばちゃんからもらって壱をみた。


この部屋には私、フウ、故、そして壱しかいない。


この4人だけで話したいことなんてあるのかな……。


けど、壱は真剣な顔つきで私たちをみた。


「お前たちは俺に聞いてこないが、何故俺と牙城の目が赤いのか知りたくないのか?」


ビクッとフウの手が動いた。


壱はそれを見逃さなかった。


「……知りたいんだろ?」


私は小さくうなずいた。


フウもうなずいた。


故だけは粗茶の中にある木の枝を指でいじっていた。


「俺たちの父親はシャジータを纏わるもの。昔の言葉では災厄という意味がある。母親はファリャーノを纏わるもので白き神、という意味がある。このシャジータとファリャーノの神は同じ唄の神様なんだ。だが、一つだけ違うところがある。それは感情だ。シャジータは怒りや憎しみなどの憎悪の唄を愛し、ファリャーノは喜びや楽しさなどの喜びの唄を愛していた。正反対のものを愛した神だが、二人はとても仲がよかったと言われていた。が、ある時二人は喧嘩をした。すごく大きな喧嘩だ。その喧嘩により世界は大きく二つに分かれた。天と地だ。シャジータは地を作り、ファリャーノは天を作った。そしてあるとき、シャジータが人間をつくった。それをみたファリャーノは天に[竜の民]を作った。だが、竜の民はそれから自分たちの力に屈し、死んでいった。それを見かねたファリャーノは次は誰にもわからないようにこっそりと[神の民]を作った。神の民は産まれてきたら必ず神様になるんだ。例えば……。シンやラオも神様だった」


そこで壱は言葉を止めた。


次に何を説明すればいいのか迷っているようだった。


[神の民]。


初めて聞く民族だった。


けど、昔サクラにシャジータやファリャーノのことは教えてもらったことがある。


この世で一番強い神様だとか……。


シンやラオはこの世に存在していたときに大きな国を作ったことで有名だった。


シンやラオを知らない人はいない。


ちなみにシンは妃、ラオは王、という意味がある。


すごく美人な人とカッコイイ人だったらしい。


私たちがじっと待っているとようやく壱が口を開けた。