「さて、そろそろ戻らないと、皆が心配してるかもしれないよ」
私がスッと玄武に翡翠を向けると、玄武は承知した、と言った。
「あ、その前に、私はルウでいいからね」
玄武はニカッと笑い、動物の姿に変わった。
蛇と亀の独特で黒い姿。
玄武はスルッと翡翠の中に入った。
「さ、朱雀も入って」
私が首もとを指さすと、朱雀はふわっと笑って動物に変わり、急上昇して降りてきてスルッと翡翠の中に入った。
玄武と朱雀の翡翠は同じ紐につないできるから、コツンと触れあう音がした。
「玄武、うれしいだろうなぁ。いひひ」
八重歯を見せて笑う故は、とても楽しそうだった。
「そっか。玄武は朱雀が好きだったんだっけ」
私が二つの翡翠をギュッと握ると、壱が歩きだした。

