太陽の竜と闇の青年

「うっわぁー!!」


私は思わず感嘆の声をあげてしまった。


壱も驚いた顔をしている。


「どぉだ!驚いただろう?これ、全部俺様が作ったんだ」


光の中には、大きな花畑が広がっていた。


まるで、ここだけ森のなかの世界が違うように。


「これは異次元だ。たまに次元が歪んでこーゆーところに入れるようになるんだ。だから俺様は特殊な能力がない限り入れないここに本当の玄武殿を隠しているんだ」


「玄武を蘇らせるためには、どんなことをすればいいの?」


スッと笛を取り出した。


けど、それを故が制した。


「玄武殿はあまり曲には興味がないんだ。だから、何か吹いても、玄武殿は出てきてくれない」


それから、故は朱雀の翡翠を指さした。


「朱雀殿が出てくれれば、玄武殿は出てきてくれるよ。だって、玄武殿は朱雀殿が好きだからね」


私と壱は無意識に顔を見合わせていた。


「…………ってことで、朱雀、出てきてくれる?」


私がそう頼むと、翡翠の中の朱雀が動き、シュルンっと出てきてくれた。


「ルウの頼みでしたら、もちろん出ますとも」


柔らかく微笑んでくれる朱雀を私も笑ってみたあと、故に聞いた。


「それから、どうすればいいの?」


故はグッと親指をたてた。


「朱雀殿が玄武殿を呼べばいいんだよ」


私は朱雀を見た。


朱雀は分かっています、というように目配せをして、綺麗な声で言った。


「お久しぶりです。玄武」


朱雀が玄武の名前を呼んだ瞬間、私が持っていた翡翠が花畑の中心に浮かんだ。