太陽の竜と闇の青年

「何だよー。そんなにみられたら俺様照れるじゃねぇかよ。そーいや、ルウ殿は女だよな?何でズボン履いてんだ?」


私は自分のズボンを見下ろした。


「あぁ。これ?こっちのほうが動きやすいからかな?」


あはははと笑った私を九尾は興味深そうにみた。


「ふ~ん。ってかさ、ルウ殿と壱殿は俺様のこと九尾って呼んでるけど、これからは故って呼んでくれないか?」


壱が、ピタッと足を止めて振り返った。


「ゆえ?」


九尾はこくんと、うなずいてにやぁーっと笑った。


「俺様、壱殿とルウ殿を気に入ったから言うけどよ、俺様の本当の名前、九尾故って言うんだ。ただ、九尾っていう名前は神様たちの間で使われるから、ルウ殿と壱殿には、親近感をもって、故って呼んでくれ!」


私はニッコリと笑って言った。


「故。よろしくね?」


おう!と元気よく故は返事を返してくれたが、壱は浮かない顔だった。


「壱、どうしたの?」


「故、その言い方からして、もしかしてこれから旅についてくる気なのか?」


あ…………。


故をみると、悪巧みが成功した子供のように笑った。


「もちろん。当たり前じゃねぇか。だって俺、ルウ殿好きになっちゃったんだもーん」


突然ぎゅぅぅぅと私に抱きついてきた故を笑いながら見下ろした私に対し、壱は少し怒ったような顔になった。


「故、ルウから離れろ」


故はベーっと舌を出して言った。


「嫌だね」


それを聞いた壱から殺気を感じられた。


「うお!怖っ!分かった。離れるから、壱殿、その殺気やめろ!」


故が慌てて離れたのと壱から殺気が消えるのとが同時だった。


「最初からそうしていればいい」


壱はまた前に進み始めた。