太陽の竜と闇の青年

「さて、朱雀殿とも話終えたし、壱殿の話を聞こうじゃないか。俺様に何をしてほしいんだ?」


壱がスッと一歩前に出た。


「玄武の蘇らせ方を教えてくれ」


そう聞かれるのを予想していたかのように、九尾は即答した。


「ここの祠の奥にはまだ道が続いている。少し歩けば頂上につくはずだよ。だけど俺様だって簡単にルウ殿と壱殿をつれていくわけにはいかない。どれだけ玄武を知っているのか、教えてもらう。玄武を目覚めさせるための呪文を言ってみろ」


壱が少し戸惑った顔をした。


ここが私の出所。


私は一歩前に進み、壱の隣に立った。


「破壊と再生の気高き者。透き通る魂は嘘もなく美しい。大地を揺るがすだろう。定めより目覚めた玄武は白虎を呼ぶだろう」


九尾は、満足気に笑った。


「玄武を蘇らせたいと願う者はこれぐらい言えないとな。ちなみに、透き通る魂って俺のことなんだぜ?えっへん」


腰に手を当てて自慢する九尾を横目にみながら、壱は奥に進み始めた。


私もそれについて行く。


九尾は慌てて私の隣に並んだ。


「九尾はこの奥に入ったことがあるの?」


私がそう聞くと、九尾はうなずいた。


「あぁ。もちろんあるさ。玄武殿のお守りなんだからな」


私はじっと九尾の横顔をみた。


その視線に気づいた九尾は照れ笑いした。