太陽の竜と闇の青年

「あたしはガイヤ砂漠にて、恋の曲タラバンを聴きました。タラバンの曲に感激し、あたしはルウに絆を求めたんです。ルウは私に優しく笑いかけて「朱雀を愛そう」と言ってくれました。まるでジャリスのように。だから、あたしはルウの力を借りて蘇ったのです。だからルウは玄武も蘇らせることが絶対にできるはずです。玄武はきっとルウのことを気に入ると思いますから」


朱雀の説明は完璧だった。


けど、九尾は渋面を浮かべていた。


「だけどジャリスは朱雀殿たちをヒドイ目にやったんだ」


ジャリスが朱雀たちをヒドイ目にやった……?


私は九尾が言っていた言葉に耳を疑った。


そんなはずがない。


だって、ジャリスは…………。


「九尾。本当にそう思いますか?」


朱雀は優しく九尾に語りかけた。


九尾はガリガリと頭を掻いた。


「あぁ。そう思っている。確かにいい人なんだけど、殿たちをあんなめに合わせたことは許せない」


朱雀が九尾の頬をそっとさわった。


「ですが、あたしたちは人間を殺しました。あれぐらい当然の結末です。それに翡翠を壊したのはジャリスではありません」


九尾は観念したように両手を上に挙げた。


「分かったよ。本当に俺様は朱雀殿たちには弱いんだよなぁ……」


朱雀は優しく笑って言った。


「あたしたちは九尾の優しさがとても好きですよ」


それから朱雀は動物の姿に戻って、また私の翡翠の中に入っていった。