太陽の竜と闇の青年

壱がスッと私の隣に立った。


香のいい匂いがした。


「いや、あまり有名にはなっていないが、俺がお前を知っていたからだ」


すると、九尾は口を尖らせた。


「ちぇ。何だよー。つまんねーの。ここの神様は俺様だってのによー」


「あぁ。知っている。お前は和国の神様で、和国に現れた大蛇を倒したと言われる狐だ。だが、今は狐は悪者になっている」


すると、九尾は楽しそうに笑った。


尖った八重歯が見えた。


「いひひ。狐って騙したりすること好きだからな。俺様だってたまに騙してたぜ?だけど、玄武殿のお守りになってからはあまり騙してねぇなぁ。そーいや、玄武殿はどこにいったんだ?」


九尾がキョロキョロとあたりを見回した。


それから、クンクンと犬のように鼻を動かすと、私のほうを見た。


「あれ?何でルウ殿が玄武を持ってるんだ?」


ルウ殿っていう呼び名は聞き慣れないけど、新しい気持ちになって、なんだか楽しい。


私は微笑しながら言った。


「拾ったのは壱だけど、私が玄武を蘇らせるから」


すると、九尾は驚いた顔をして言った。


「マジか!?ルウ殿は本当にそんなことができるのか?」


私が自慢するように九尾に言葉をかけようとしたとき、胸元にかかっていた朱雀の翡翠が朱色に光った。


朱雀が動物の姿で翡翠から出てきた。