太陽の竜と闇の青年

九尾よ……、蘇れ……。


そう強く願った時、突然祠から狐火が数個でてきた。


その狐火が私と壱を包む込む。


「狂った世界の夕暮れに、狐は誰を想う。誘われた君は誰を想う。聞こえくるのは宵の境の神楽詩。歪んだこの心を愛してくれるのかい。歪んだその絆は消えていくことしかできない」


唄いながら祠からでてきたのは、私よりも少し背の小さい少年だった。


体は小柄で少し細い。


けど、その目はまるで狐のように鋭く、ニヤッと笑った顔は悪巧みを思いついたような顔だった。


「この唄はその聖人歌の一部の唄なんだよ。知ってた?」


私はふるふると首を横に振った。


「ま、実際どうでもいいけどね。そんなこと。ところで、殿たちの名前は?」


九尾は人の呼び方だけは丁寧だ。


だけど、今は「殿」なんて使う時代ではない。


そう考えると、本当に九尾は昔からいる神様なんだって思ってしまう。


見た目は少年だけど、実年齢はどれぐらいなんだろう?


「俺は空風壱。九尾を見ることをずっと願っていた」


「私はウィン=ルウ。九尾を蘇らせたかった」


すると、九尾は照れ笑いをした。


「マジでー。いつの間に俺様ってそんなに有名になったわけ?」