太陽の竜と闇の青年

私は自慢気に指を一本立てた。


「いやぁ、どっこの国もそうなんだけどさ、図書館っていうものは、便利だね☆いろいろなことについて書いてあるし、いろいろなことについて分かるから」


まさか……、と小さくつぶやいた壱の声が聞こえた。


私はニッコリと笑って説明をすることにした。


「まず、少年の言っていた言葉、[狂った世界の夕暮れに、狐は誰を想う。誘われた君は誰を想う。聞こえくるのは宵の境の神楽詩。歪んだこの心を愛してくれるのかい。歪んだその絆は消えていくことしかできない]。これについて調べたことを言おう。正直、言葉の意味は書かれていなかった。だけど、狐は和菓子が大好物みたいでね。これをあげればついてくるらしい。だから、今日も和菓子を作ってもってきたんだ。そして、この狐は……多分、悲しいんだと思う。その悲しさを埋めるために心が歪んでいった。それを私たちに治せと言っているんじゃないのかな……。最後に神楽歌だけど……、これは私も吹いたことがあるんだ。神楽歌っていうのは神楽のなかで歌う神歌や民謡なんだ」


壱が呆然とした顔になっていた。


「そんなにも調べたのか……」


私はうん!と元気よく答えた。


「で、唄の通りの場所を探したら、神楽がそこにあったんだ。きっと九尾はまだ寝ていると思う。宵の境はまだだから」


九尾が起きるのは、完璧に今日と次の日の境だ。


私は笛を取り出してニコッと壱に笑いかけた。


「神楽の曲で一番いい曲は、聖神歌っていう結構有名な曲なんだ。それを吹いてみようと思う」


私の説明を聞き終えた壱はその変に転がっていた木の上に腰掛けた。