太陽の竜と闇の青年

俺が九尾の祠についたとき、そこには先客がいた。


ターバンから少しはみ出た髪が月の光でキラキラと輝く。


「……ルウ」


俺がルウの近くに歩いて行くと、ルウは笑って俺をみた。


だけど、その顔は、泣き笑いに近い顔だった。


俺は、急いでルウの元に駆け寄った。


「どうした!?」


すると、ルウの目からボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちた。


ルウは俺の浴衣にグッと顔を寄せ、泣いた。


「どうした?」


ルウが泣き終わると、俺はさきほどと同じ質問を優しくルウに問いかけた。


ルウは額に手を当てて、遠くを見つめるようにしてつぶやいた。


その声はいつものルウの元気のいい声じゃなく、蚊の飛ぶような声だった。


「こんな月の夜になるといつも思い出す。心が苦しいよ……」


グッと自分の胸元を掴むルウを見て、俺はどこか不審に思いながらも、ルウの話を聞いていた。


「この白銀の髪色が輝く度に思い浮かぶ。竜の民……。それに……アージュ」


俺はルウを凝視した。


ルウは遠い目をして、俺に焦点を合わせない。


確かフウは言ったはずだ。


ルウはアージュの記憶と竜の民の記憶がない、と……。


なぜルウは竜の民という言葉を知っているのか。


「フウはアージュの記憶と竜の民の記憶がルウには無い、と話していた」


俺がルウを見下ろして言うと、ルウは悲しそうに笑った。


いつものルウじゃないようだ。


「聞いちゃったんだ。昔のこと」


俺は小さくうなずいた。