太陽の竜と闇の青年

「だから、ルウは竜の民のことを知らないし、初恋の相手がアージュだってことも覚えていない。そんなルウをみた僕は絶対にアージュと約束したことを守ろうって誓ったんだ。すべての記憶を自分自身の手で消し去ってしまった哀れなお姉ちゃんを、僕は命をかけてでも守るってね。だから、僕はルウが大事なんだ。ルウを守るために僕がいる。ルウを殺そうとするヤツがいたら、そいつらを片っ端から僕が殺してやる。ルウの無邪気さを汚すやつは僕が許さない。たとえそれが僕の命の恩人でも、家族でもだ」


壱の目がスッと開かれた。


赤色の目が僕を見つめる。


「竜の民は皆白銀の髪色なのか?」


突然そう聞かれた僕は少しだけ驚きながらうなずいた。


「うん。力を持つ者は大抵白銀の髪色だ。まぁ、力が薄い人は白髪だけどね」


「ってことは、ルウちゃんやフウちゃんは力が強いってことかい?」


「うん。刻破りは1億人に1人しか出来ない能力なんだ。僕たちは偶然、双子そろって刻破りの力を手にしちゃってるけどね」


すると、突然壱が立ち上がった。


「もう、それで話は終わっただろう。すべてを話してくれて感謝する。ウィン=フウ」


僕は、首を傾げて聞いた。


「空風壱はどこに行くの?」


空風壱は、腰にいつもの剣を下げた。


「仕事だ。暗殺者はいろいろと忙しいのでな。暇なんだったら、そこのお姉さんにでも遊んでもらえ」


僕はぎこちなく後ろを振り返った。


せっかくの化粧がグシャグシャになっている莢の顔を見たとき、こーゆーお姉さんは遠慮しておきたいって心底思った。


それに…。


僕は本当のことを知りたかった。


[本当に彼女は竜の民とアージュのことを覚えていないのか]