太陽の竜と闇の青年

「うーん……。そうやって言われたら増やすどころか減らしたくなっちゃう性格なんだよねー。僕って、今反抗期だから?あはははは」


すると、男の目がカッと見開かれ、僕に向かって突進してきた。


……きたっ!!


僕は、小太刀をサッと抜いた。


が、男が僕に襲いかかってこない。


数秒後、ドサッと重い音がして男が倒れ込んだ。


「……え?」


僕の足下の呪絵が消えていく。


何?何?何があったの?


僕が周りをキョロキョロしていると、前方からアイツの声がした。


「殺すのに有利なのは、男の背後からだ。そんな横から倒せるはずがないだろう」


僕は渋面になりながら、声の主、壱を見た。


「……またここで会ったな」


壱は、僕の言葉に小さくうなずいただけだった。


「壱はここで何してんの?」


僕がまた質問した。


「前、おまえとここで戦ったとき、俺はある依頼をうけていた。暗殺者として」


僕は眉をしかめた。


壱が何の話をしているのか、さっぱりわからない。


「依頼主は、ここの森に怪しい術者がいるから暗殺してほしいと、俺に頼み込んできた。俺はそのときは暇だったから、引き受けた。だが、思った以上に捜査は困難だったし、逃げ足も早い。だが、おまえを、囮につかったことによって、無事に依頼が果たせた。だが、これで暗殺者としての仕事はしばらくお預けだな。他国には暗殺ってものがないらしいし。まぁ、依頼を果たせてことについては、とりあえず感謝しておこう」


これって、怒るべきとこなのかなぁ。


それとも、素直に感謝を受け取るべきとこなのかなぁ。


「僕って、何って言えばいいのさ」


「何も言わなくていいんじゃないのか」


壱は西洋ではポーカーフェイスと呼ばれる顔で言った。


何か、苛つくやつ。


だけど、顔立ちもいいし、頭もよさそうだし、武術にも優れている。あまり喧嘩とかしたらいけない気がする。


ってか、壱ってカッコよすぎない?


僕はマジマジと壱を見た。


今日つけていた頭巾をはずしているから、顔がよく見える。


「何だ」


顔をひきつらせながら壱が僕に聞いてきた。


「いや、何でもない。ところで、壱は僕に用事があったんじゃないの?」


そう。


壱がわざわざ僕のところにくるはずがない。


男だって、僕一人で倒せた相手だってわかっていたはずだし。