「壱は武術をどこで学んだ?」
壱は後頭部をガリガリと掻いた。
「武術は元から得意なほうだった。習ったというか、ほとんど独学に近い」
すると、リクが驚いた顔をした。
「独学だと!?」
壱は目を細めてリクをみた。
「あぁ。独学だ」
リクが身を乗り出すように言った。
「独学であんなに強くなるはずはない!」
真っ赤な顔をして突っかかるリクとは対照的に、壱は表情を変えずに涼しい顔つきだった。
「人間やればできるもんだ」
それを聞いたジンがポツリと言葉をもらした。
「神に選ばれた人間はいるんですね」
けど、この言葉は私にしか聞こえなかったみたいだ。
フウもリクも壱も、にらみ合いをしている。
私がジンをみると、私の視線に気がついたのか、ジンは
ニコッと私に向かって笑った。
神に選ばれた人間…………。
バレないように壱をみてみた。
私はずっと気になっていたことがある。
それは、壱の目だ。
牙城さんの目も同じだった。
他国ではそれほど珍しいことじゃないけど、きっと和国では珍しい目の色を壱はしている。
鮮やかな赤色の目。
「で?おまえらは?」
突然、壱が私たちに話題をそらしてきた。
「え?私たち?」
私が反射的に反応すると、壱が私のほうを向いていった。
「俺だけに秘密を言わせて、はい終わり、なんてことはないだろ。ルウたちだって隠し事があるだろ」
確かに……。
壱にだけほんとうは言ったらいけないことを言わせるのはいけない。
リクが深く息を吸い込むのがわかった。

