太陽の竜と闇の青年

私たちが泊まっている宿屋について部屋に入ったとき、何で壱と一緒にいるんだ、と、フウたちに質問攻めになった。


けど、それに答えたのは壱だった。


壱の淡々とした説明は的確で、批判を言えなくするようなものだった。


「と、言うわけで、これから壱も私たちの旅に同行することになりましたー!朱雀の時と同様に、仲良くしよーね」


私がフウたちに言うと、フウたちは無精無精にうなずいた。


「まぁ、かなりの戦力になるし……。僕たちの旅にはかなり重要な人になるだろうけど……」


三人とも渋面を浮かべた。


「だが、壱がどういうヤツなのかを俺は知らない」


壱は、腕を組み、壁に背をつけて立っていた。


「いや、だから、壱は……」


スッと私の肩に壱の手が置かれ、グッと後ろに下がらせられた。


「俺は和国の第一王子だ」


「「……は!?」」


私たちの声が重なった。


だって、壱は暗殺者だって聞いてたし、第一、和国の第一王子は牙城のはず……。


「とりあえず、お茶を出しましょう。混乱している頭には、和国でとれる茶の葉が一番いいですから」


ジンがあわてて皆を席に座らせ、粗茶を出してくれた。


私は壱の隣に座り、正面にルウとリクとジンが座った。


「じゃぁ、説明してもらおうか」


ジンが席につくのと同時にフウがいつもより低めの声で言った。


「俺と牙城は腹違いの兄弟だ。俺の母親は空風春。牙城の母親は斉藤弥栄。牙城の本名は斉藤牙城だ。まぁ、それはどうでもいい話だが……。親父と母の間で初めての子供が俺だった。つまり、俺が第一王子に任命された。けど、母親は俺が2歳の時に死んでしまった。それから、親父と側室の母に子供が産まれた。それが牙城だ。牙城は第二王子として任命された。そして、俺の物心がついたとき、俺は王子なんてばかばかしい仕事はできなくなった。王子ではなく、もっと質素な暮らしがしたかった。一般人のように生きてみたかった。だから親父に少しだけ猶予をもらった。俺が一人で社会にでて、きちんとやれていけるかどうか、試す猶予を。はじめのほうは俺も戸惑っていたし、就職もできなかった。その内、俺は自分の特技を生かそうと考えた。それが暗殺という職だ。だが、戸籍上俺は第一王子のままだった。親父はもう一つ俺に条件を持ってきた。暗殺者として20年間生きていけるのなら、俺を第一王子からはずし、第二王子とすることを。牙城は第一王子になることをすぐに了解してくれた。後は親父だけなんだ。親父だけ納得させれば俺は王とかそんなもんにならなくてすむ」


無口な壱が長々としゃべった後、少しの間沈黙が続いた。


それを破ったのはフウだった。


珍しく笑わず、壱を見つめて言った。