「……ここは?」
「宿屋です。フウさんは途中で高熱を出して、倒れてしまったんですよ」
「……ルウはどこ?」
「ルウさんはわたくしたちの替わりに、牙城さんたちと話をしています」
すると、フウがガバッと起きあがった。
が、すぐに布団に倒れ込む。
俺はそんなフウを支えて言った。
「ルウを信じろ。そう言ったのはお前だろう。フウ」
フウは驚いた顔をして俺をみた。
「ルウなら大丈夫だ。あいつは何でもやれるからな。殺されたりなんてことはされない。今頃、玄武を目覚めさせるためにどこかに行っているはずだろう」
俺の言葉を聞いたフウは、ゆっくりと起き上がり、いつもの笑みで言った。
「そうだね。ルウのことだ。きっと大丈夫」
それから俺たちになぜかお礼をした。
俺とジンはそんなフウを不思議そうに見つめてから聞いた。
「フウさん?どうしたんですか?」
フウは礼をしたまま、口を開けた。
「王族が嫌いとか言ってごめんなさい。実際、僕は王族が嫌いだ。でも、リクさんやジンさんは好きだ。母上も父上も優しくて好きだ。でも、僕はどうしても許せないんだ。王族なんて言葉、消えて無くなればいいとも思っている。……こんな僕を許してくれ」
俺はフウを凝視した。
いつも意地悪そうに笑っているフウからは想像を絶する行動だった。
王宮の時もそうだったが、今のフウもはじめてみる。
今日はフウの様子が少しおかしい気がする。
まるで、自分の弱さを知ってしまった哀れな獣のようだ。
「フウ。頭をあげろ。俺たちはそんなこと、とっくの昔に知っている。フウもルウも王族だが、王族が嫌いってことも。奴隷だったときの傷は俺たちがいても一生消せないってことも。謝るなら、俺たちのほうだ。俺たちでも消せない傷を俺たちがつけてしまった」
フウが顔をあげていった。
「……これで、おあいこですね」
その顔はどこか悲しげだけど、少し無邪気な顔だった。
俺とジンは顔を見合わせて笑った。
「宿屋です。フウさんは途中で高熱を出して、倒れてしまったんですよ」
「……ルウはどこ?」
「ルウさんはわたくしたちの替わりに、牙城さんたちと話をしています」
すると、フウがガバッと起きあがった。
が、すぐに布団に倒れ込む。
俺はそんなフウを支えて言った。
「ルウを信じろ。そう言ったのはお前だろう。フウ」
フウは驚いた顔をして俺をみた。
「ルウなら大丈夫だ。あいつは何でもやれるからな。殺されたりなんてことはされない。今頃、玄武を目覚めさせるためにどこかに行っているはずだろう」
俺の言葉を聞いたフウは、ゆっくりと起き上がり、いつもの笑みで言った。
「そうだね。ルウのことだ。きっと大丈夫」
それから俺たちになぜかお礼をした。
俺とジンはそんなフウを不思議そうに見つめてから聞いた。
「フウさん?どうしたんですか?」
フウは礼をしたまま、口を開けた。
「王族が嫌いとか言ってごめんなさい。実際、僕は王族が嫌いだ。でも、リクさんやジンさんは好きだ。母上も父上も優しくて好きだ。でも、僕はどうしても許せないんだ。王族なんて言葉、消えて無くなればいいとも思っている。……こんな僕を許してくれ」
俺はフウを凝視した。
いつも意地悪そうに笑っているフウからは想像を絶する行動だった。
王宮の時もそうだったが、今のフウもはじめてみる。
今日はフウの様子が少しおかしい気がする。
まるで、自分の弱さを知ってしまった哀れな獣のようだ。
「フウ。頭をあげろ。俺たちはそんなこと、とっくの昔に知っている。フウもルウも王族だが、王族が嫌いってことも。奴隷だったときの傷は俺たちがいても一生消せないってことも。謝るなら、俺たちのほうだ。俺たちでも消せない傷を俺たちがつけてしまった」
フウが顔をあげていった。
「……これで、おあいこですね」
その顔はどこか悲しげだけど、少し無邪気な顔だった。
俺とジンは顔を見合わせて笑った。

