太陽の竜と闇の青年

[壱]




さきほどからかなりの視線を感じる。


必死についてくるルウに心配をかけささない様にするために、気づかないフリをしていた。


が、ようやくルウも気づいたらしい。


笑っているが、立ち上がって周囲の様子を窺っていた。


「走れるようになったか」


俺がそう聞くと、ルウは腕まくりをして楽しそうに言った。


「もっちろん!」


俺はルウの傍に言って小声で伝えた。


「俺が計算したかぎり、30人あまりいる。少しだけスピードをあげるがついてこれるか」


ルウも小声で返してきた。


「なんとか頑張れる。ここで戦って体力を消耗するよりかはマシだからね」


俺とルウの目が合った瞬間、俺たちはさっきよりも速いスピードで走る。


ルウもあんなに疲れていたのに、速さが俺についてこれるようになっていた。


「ぶっちゃけると、あんまり疲れてなかったの。少し壱と話す時間が欲しかっただけ。でも無効果だったのかも」


ルウが話終えたとたん、四方八方から俺と同じ様な身なりをした男たちがでてきた。


すると、ルウが楽しそうに声をあげて言った。


「わぁお!!すっごい!これが噂に聞く暗殺者?なんか、カッコイイね」


俺はそんなルウを横目に見ながら言った。


「倒せない数ではないな」


すると、ルウは首を傾けた。



「うーん……。壱は武術に優れてると思うけど、私そんなに強くないよ?」


と、いいつつも笑顔で腰につけていた双剣を取り出した。


「倒せるだけ倒せ。後は俺がなんとかする」


俺がそう伝えると、ルウは満足気にうなずいて言った。


「壱の背中は私が守ってあげる」