太陽の竜と闇の青年

「ファジが教えてくれたんだ。大地に恋の歌が響けば、歯車が動き出す。太古より目覚めた朱雀は絆を求めるだろう。朱雀は玄武を呼ぶ、って。だから私は蒼国の音のない大地、ガイヤ砂漠に行って恋の歌、タラバンを笛で吹いたんだ。そしたら朱雀が目覚めた。すっごい美しい人だったなぁ……」


私がそう言うと、朱雀の絵が動いた。


それをみた壱と牙城さんは驚いた顔をした。


「本当に、目覚めさせたのか……」


壱がつぶやくようにして言った。


牙城さんはまだ信じられないような顔になっていた。


「あなたにこれを託せば、玄武は生き返るのだろうか」


私は首を傾げながら言った。


「さぁ?どうなんだろ……。でも、私は四神たちを愛そうって、ファジとジャリスに約束したんだ。だから、できる限りの力は出すけど……。もし、蘇らなかったら、そこで私の旅はおしまいだ」


すると、牙城さんは楽しそうに笑っていった。


……決心がついたんだね。


「分かった。玄武を君にあげよう。ただ、壱も連れていってくれないか。彼が一番玄武を大切にしていたんだ」


壱が驚いて牙城さんのほうをバッと振り返った。


牙城さんは笑った。


「もう、僕は子供じゃないんだ。それに、壱は今の僕の座につくのは嫌なんだろ?」


すると壱は決心したようにうなずき、牙城さんに言った。


「すまない。それと、ありがとう」


それから壱は二つの翡翠と私の手首を掴んで牙城さんの部屋からでた。