「大丈夫だろ、いつもの事だし」

「倭(やまと)!!」

上総の後に続くように、一番年上の兄、倭が2階から降りてきた。

襟足まで伸びた黒髪を、邪魔くさそうに掻く。

上総と兄弟のくせに、性格はまるで違う。

明るく、聞き上手で話上手な上総に対し、倭は基本無口。

しかも冷淡……というか、無関心で、すぐに怒る。

だけど本当は優しい兄で、「大丈夫」と言いながらも、救急箱を持ってきてくれていた。

「ほら、見せやがれ」

「う、うん……」

―――私はこの温かい家が好き。だからみんなに楽になって欲しい。


じわりと心が温かくなった。