「おかえり、春」



その声の主は、4つ年上の兄、上総だ。



どこかの部屋から声がしたから、慌てて靴を脱ごうとすると、見事につまずき、転んでしまった。


結んでいる栗色の髪が乱れた。



「いったああぁあああ―――――――!!!」


「春、どうしたの!?」

慌てた様子で、上総が階段を駆け下りてきた。