星の王子にお願いを☆

「それを、貸してみろ」



言われた通りに双眼鏡を渡す。


「良いか。よく見ているのだぞ」


そう言うと、人差指と中指の間に紙を挟んだ。


紙には何か、記号のようなものが書かれていた。



アザールは紙を挟んだ腕を伸ばし目の高さまで上げると、囁くように言った。





「気外空間透視、星存黒界域」



彼の吐息がわずかに紙に触れる。


私は知らぬ間に、その光景に吸い寄せられた。


アザールはその紙を双眼鏡に貼ると、それを再び春に渡した。



「もう一度覗いてみろ。見えるはずだ」


双眼鏡に目をあてると、思わず感嘆の声が漏れた。


「わあぁぁ……!」


今は視界いっぱいに、見なれない宇宙が広がる。