――私には、友達がいません。



「おぃ、神納。お前後で職員室来いよ。」

五月の上旬、晴れやかな日差しの中、私はとうとう呼び出しを食らった。


(………というか先生、みんなの前で言わないでよ…。)

せめて後でこっそり耳打ちとかだったら良かったのに…………この独身変態教師。


キーンコーン

カーンコーン

「………じゃ、HR終わり〜。次は、国語?らしいぞ。ま、せいぜい頑張れ、じゃあな。」

「………相変わらずだな、うちの担任は。」

「いいのかなあんな若いバカ教師で……」

「………まぁ俺たち一年だし、当て馬かもな。」

小声で話す生徒たち。


(ちょ、君たち…。後で私に八つ当たりしてくるかも知れないんだから、挑発しないでよ………。)

いよいよ行きたくなくなってきた。


「…………はぁ。」

私は溜め息をひとつ吐いて、席を立った。