――僕の一日は、神納さんから始まる。
「―――ふあぁ……。」
朝起きると、僕はまず携帯を開く。
「……神納さん。」
―――おはよう。
携帯画面を見ながら、神納さんに挨拶をする。
「今日も神納さん、かわいいんだろうなぁ。」
そう思いながら少しにやけていると、下から母の声が聞こえた。
「さっくーん?起きてる?」
「起きてまーす。」
僕の家族は、母と父の三人家族で、父はいつも早朝に出掛けている。
だから、朝は基本的に僕と母の二人だけだ。
「さっくん、あのね。今日の朝はね、近所の人から葡萄をもらったらから、それ食べてね。」
「うん、ありがとう。」
そう言って、朝ごはんを食べる。
「行ってきまーす。」
「いってらっしゃーい。」
軽やかな母の声を聞きながら、僕は家を出た。
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