入学式で列に並んでいたとき、私は隣の人にぶつかって花を落としてしまった。


「あっ……」

慌てて拾おうとしたけど、地面に落ちた人工花は人の足の間にあって、取りにくい。


もう、諦めようか…そう思ってた時、


「はい。」



背後から、声が聞こえた。


「……え、」

乙葉世……くん?


「君、今花落としちゃったでしょ?これ入学式中は着けてなきゃダメらしいんだ。たがら、はい。」

そう言って、花を差し出してくる彼。

「え、でもしたら乙葉世くんが…」「気にしなくていいよそんなの。」


「ほら、花だって、僕より君のが似合うよ。」


そう言って笑った乙葉世くんに、



私は落ちてしまった。




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