「なんか顔色悪いから…。もしかして、先生の話で疲れちゃったとか?」

冗談でそう言って笑ったら、乙葉世くんはまたビックリした様子になった。

「?」

「あ、……いや、そういう訳じゃ………その、」

「…………?」

「………………………………………なんでもない。」
(………言えない。)


………なんだったんだろう。

(っ!というか、私今めっちゃ近い!乙葉世くんと至近距離!?ヤ、ヤバイ……気づいたらなんか物凄く恥ずかしくなった!)


「あ、神納さ……」
「じ、じゃ、私の教室だから!さよなら!」


そう言って逃げた。



(あああぁぁぁぁ私のバカ〜〜〜〜!!なにも逃げることないのに!せっかくのチャンスを〜〜!)




「……………、神納さん?」


背後で、乙葉世くんが呆然しているのを感じた。




(私の、バカ)