――私の一日は、乙葉世くんから始まる。


ジリリリリ……ジリリリ……ピッ
「………。」


……朝だ。

まず目が覚めたら、ベッドの脇にある棚の上の、乙葉世くんの写真に挨拶をする。

「……乙葉世くん、お早う。」

そう言ってにっこり笑った。

「さて、学校の支度しなきゃ……。」


着替えて、ご飯を作って食べて………あぁ、時間がない。


(やっぱり独り暮らしだと、色々辛いなぁ……。特に朝。)


そう思いながらも、私はちゃちゃっと支度を終わらせ、鞄を持ち、家のドアを開ける。


「いってきます。」


――今日は、乙葉世くんに会えるといいなぁ。














学校に着くと、まず最初に乙葉世くんを探す。


乙葉世くんは部活をやっていないから、朝練はない。因みに乙葉世くんは二組、私は一組。

だからはまずは隣のクラスを見て、居なかったら全クラスを回って……それでも居なかったら、自分のクラスで本を読んでいる。


そして五分毎に隣のクラスを覗く。


こんな変な行動、自分でも可笑しいと思う。

それでも止められない。

乙葉世くんの顔が早く見たくて、声を聞きたくて、…………会いたいから。


これが私の朝。