-----------1週間後----------------



「それじゃあ、次。
 遠藤さんー。」


夏休み、初日。

夏休みが始まると同時に、
3日間に渡る、三者面談も始まった。


今遠藤が呼ばれ、次はあたし。
蒸し暑い廊下で呼ばれるのを待つ。


教室からは微かに会話が聞こえてくる。

だけど、頑張って聞き取ろうとしても、
蝉がそれを掻き消す。



すると、

「あんた、嘘でしょ?!」

いきなり大きな声が聞こえた。


なんで驚いているかは想像できた。

御堂学院に行く事を初めて
お母さんに打ち明けたのだろう。



遠藤の三者面談は少し長かった。


担任は遠藤を見送る際、

「受験勉強頑張れよ~、
 未来の甲子園球児~(笑)」

ちょっと馬鹿にして言った。



「じゃ、次は佐藤さんだな。」

あたしとお母さんが教室に入る。


あたしとお母さん、担任という形で
向き合って座る。


担任の手元にはクラス全員分の
進路希望調査票と大量の資料。

その中から、あたしの資料を探し出す。



「お、あった。
 佐藤の第1志望は商業高校だな。

 将来はなにに就きたいんだ?」