泥だらけの王子様




「御堂学院の話だけどさ、
 そんな深く考えんなよ?(笑)

 お前にも第1志望あるわけだし、
 自分の進路なんだし!」


「そんな事より、あんた学力大丈夫なの?」


「いや、大丈夫なわけないだろ…?」

と、遠藤は肩を落とした。



「…わりぃ、時間とらせて!
 じゃあな!」

そう言って、遠藤はエナメルを担いで、
帰って行った。





「でも、なんであたしなんだろう…。」


ずっと思ってた事が、
ふと、声となって現れた。





あたし、野球部のマネージャーやりたい
なんて言ったことないし?

しかも、野球の事
あんまり深く理解してないし?(笑)


それに、彼女でもないし?




でももし遠藤があたしを好きなら…。

いや、ないないない!(笑)
あの遠藤はあたしを…
ちょっとおもしろいでしょ(笑)


そりゃ、遠藤と同じ高校に行きたいけど
学力もあるし進路もある。

御堂学院行って、進路は別に困らないけど
行く理由が見つからない。

でも行かない理由も見つからない。



好きな人を追いかけて高校を選ぶのって、

合ってるの?


それとも、間違ってるの?