彼とは、もうとっくに別れた。

もちろん私から。

2年ほど前に。

彼を見ると、あいつを思い出してしまうから、という理由で。

これはきっと嘘じゃない。でも、彼と別れてからも、ふと、あいつを思い出してしまう。

そんな自分が嫌になる。


何の衝動に駆られたのか、あいつのメールアドレスを選択した。

園児が足にまとわりつくので、手で、シッシッとしながら、


「先生、今忙しいから、あっちいってな。」


と、追い払った。

20分もの長い時間をかけて、考えついた言葉。

それは、「元気?」


届くか。

送信ボタンを、ゆっくりと押す。


カチッ


ピロリン♪と電子音がして、

「送信完了」

という文字が浮かんだ。

ほうっ。と肩をなでおろす。

もし、あいつのアドレスが変わっていれば、携帯会社からメールが届くだろう。

もしかしたら、会社からも、あいつからも、メールが来ないかもしれない。

それでもいい。

確かめたいんだ。


そのとき。