「あ、悪ぃ。怖がらせるつもりじゃなかったんだけど」
涙目の私を見て、そう言う彼。
さっきまでの事が嘘のように優しく頭を撫でてくれる。
………って、えぇぇぇえΣ!?
『怖がらせるつもりじゃなかった』!?
嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!!
めっちゃ怖かったんやけどー!!
安心したからか、涙がぶわっと溢れる。
「ちょ、おい!!泣くなよ!!」
「だって…ほんまに怖かった…」
「だから悪かったって。こうでもしないと言わねーと思ったんだよ!!」
さっきまでの余裕はどこに行ったのか。
彼は少し慌てとるみたい。
そんな姿を見ると、悪い人には見えへん。
さっきの人達の仲間とちゃうのかな。
内心ホッとする私を、彼はじっと見つめてきた。
「な…なに…?」
「何で追われてるのか教えろ」
急に真剣な顔になる彼。
話さなければいけないのか…。
