「だから、あいつじゃなくて、俺を見てろ」 あいつって、樫原先輩こと? 「なんであんたを見なきゃいけないの」 「お前に、見てて欲しいから」 「…。」 滅多に聞かない、そんな咲斗の言葉に、ちょっとドキッとした。 それって、あたしに自分を見て欲しいってこと? 樫原先輩じゃなくて、じぶんを見てろってこと? 「わけわかんないよ」 あたしがそう言うと、咲斗はなにも言わずに入場門の方へ歩いて行った。