「あの……もう少しだけ……一緒に////」
「えっ?」
小さな声で呟いた彼女。
俺はもう一度聞こうとして聞き返した。
すると、
「ご、ごめんなさい。何も聞かなかった事にして下さい////」
風果はお辞儀をして、踵を返した。
俺はハッとして咄嗟に彼女の腕を掴んだ。
もしかしなくても、俺を引き止めてくれたよな?
恋愛経験のない俺でも今のは分かった。
さっきのは……絶対……俺の事を…。
「風果」
黙ったまま俺に背を向ける風果。
俺はそんな彼女を後ろからそっと抱きしめた。
すると、
「先輩……明日になったら、無かった事に……とか言わないですよね?」
「はぁ?」
「だって……不安で…」
ほんの少し肩を震わせた彼女。



