今……好きって聞こえたが、幻聴か?
俺が起きようか悩み始めると、
そっと前髪を横へ流しながら
「先輩に……好きだと言ったら…ご迷惑ですか?」
彼女は少し切ない声音で呟いた。
今のはハッキリ聞こえた。
マジか?!
本当に俺の事を??
俺が寝ぼけたフリをして
頬に触れる彼女の手をそっと掴んで
寝返りを打つように…
彼女の大腿部に顔を埋めるように…。
暫しの沈黙が続く。
俺の様子を窺っているのだろうか?
ヒーリングの音楽が旧図書室に静かに流れている。
俺は寝息に似た吐息を…
静寂に溶け込むように…
彼女の指先が俺の手を握り返して来た。
そして……。



