俺の首にしがみ付く彼女の温もりが心地いい。

頬にふわっとかかる彼女の髪が、

全身の鈍い痛みを和らげているようだ。


「お前は?」

「……ふぇっ?」


泣き顔のまま、首に絡められた腕が少し緩んだ。


「風果はケガしてないのか?」

「はい……先輩のお陰で何とも…」

「なら、良かった」


俺は鈍痛で軋む右腕を持ち上げ、

彼女の頭をそっと優しく撫でた。


その時――――、


「んッ……ゴッホンッ……入ってもいいかしら?」


病室の入口に姉貴の姿が。


「あっ、はい!!」


彼女がパッと俺から離れた。

身体が軽くなると同時に、少しの寂しさを感じた。