翌朝、恵は麻酔から覚めた美鈴を訪ねた。 朝食を終え、ベッドで起き上がっている美鈴を見て恵は回復が早いことに驚いた。きっと若いからなのだろう、自分ではこうはいかない、恵は美鈴の回復力を羨ましく思った。 ベッドの上の美鈴はこの見覚えのない女性が自分を訪ねてきたことに戸惑いを見せていた。彼女の懐に入らなければならないと思い、恵は微笑んでみせる。
「おはよう、目が覚めたのね」
それでも美鈴は戸惑っていた。だが、挨拶は返さなければならないだろう。
「おはよう御座います。ええと、どちらさまですか?」
この問いかけは無理もないだろう。何しろ恵が美鈴に会った時は彼女には意識がなかったのだから。
恵は警察手帳を見せると美鈴がこの病室にいるようになった経緯を話した。
「ところであなたは何故あの場所にいたのかしら?」
恵の言葉に美鈴は覚えている限りのことを全て話した。
それは恵には信じられないことだった。昨日美鈴の母親、美里から『結界』という言葉を聞いた時も彼女には思えたのだが、美鈴の話した内容はそれ以上のことだった。
だが、見えなかった犯行現場が霧の晴れたように現れたという経験をしていた。その現象を美鈴の言葉は見事に裏付けている。現実離れした話しだが、信じるしかないのだろうか、恵がそう考え始めた時、美鈴の身の回りの物を持って美里が姿を見せた。
〈意外と荷物が少ないな〉
美里の持ってきた荷物の量を見て恵は思った。
「どう?気分は…」
持ってきた荷物を解きなながら美里は言った。
「うん、かなり楽になったよ」
美鈴は応えた。
「動作すぐに退院できるから、荷物は明後日分だけ持ってきたわ」
美里の言葉を恵は耳を疑った。いくら回復力があったとしても少なくとも一週間くらいはかかる傷の筈だった。それが明後日には退院できるなんてこれまで聞いたこともない。 一体この親子はどうなっているのだろう? 恵の表情に何か異質のものを見ているような表情が現れた。
「おはよう、目が覚めたのね」
それでも美鈴は戸惑っていた。だが、挨拶は返さなければならないだろう。
「おはよう御座います。ええと、どちらさまですか?」
この問いかけは無理もないだろう。何しろ恵が美鈴に会った時は彼女には意識がなかったのだから。
恵は警察手帳を見せると美鈴がこの病室にいるようになった経緯を話した。
「ところであなたは何故あの場所にいたのかしら?」
恵の言葉に美鈴は覚えている限りのことを全て話した。
それは恵には信じられないことだった。昨日美鈴の母親、美里から『結界』という言葉を聞いた時も彼女には思えたのだが、美鈴の話した内容はそれ以上のことだった。
だが、見えなかった犯行現場が霧の晴れたように現れたという経験をしていた。その現象を美鈴の言葉は見事に裏付けている。現実離れした話しだが、信じるしかないのだろうか、恵がそう考え始めた時、美鈴の身の回りの物を持って美里が姿を見せた。
〈意外と荷物が少ないな〉
美里の持ってきた荷物の量を見て恵は思った。
「どう?気分は…」
持ってきた荷物を解きなながら美里は言った。
「うん、かなり楽になったよ」
美鈴は応えた。
「動作すぐに退院できるから、荷物は明後日分だけ持ってきたわ」
美里の言葉を恵は耳を疑った。いくら回復力があったとしても少なくとも一週間くらいはかかる傷の筈だった。それが明後日には退院できるなんてこれまで聞いたこともない。 一体この親子はどうなっているのだろう? 恵の表情に何か異質のものを見ているような表情が現れた。


