夢だったのか、美鈴はホッと胸を撫で下ろした。そして何気なく右の方のところに手をやった。冷たくて粘っこい感触が左の掌に触れた。
 夢の中で感じていた邪悪なものの気配を美鈴は感じた。
 美鈴は蛍光灯のスイッチを入れ、白い光の中で左の掌を見た。
 それは赤黒く粘りけのある液体で染められていた。
 夢ではなかった?
 美鈴の中にさっきまであった恐怖心が蘇ってきた。
 その時、隣の部屋とを遮っている襖が開き、母が様子を見に来た。