ショートホームルームの開始を告げるチャイムが鳴った。暫くして担任の野本と副担任の恵子が入ってきた。彼らの姿を見ても教室内の興奮は修まらなかった。
「ほぉら、静かにしてくれ!」
 野本が出席簿を教壇に打ち付けた。
 教室内が次第に静かになっていく。
「みんなももう分かっているように昨日のことで報道の人達が集まっているが、それに振り回されないようにいつもの通りにしてくれ」 野本は教室中に聞こえるように声を高くして言った。
 恵子はその隣で静かに佇んでいる。
 やっと日常が戻ってくる、美鈴は静かに心の中でそう言った。