そしてついに──その日がやってきた。

 絹の、顔の包帯が取れる日だ。

 リハビリも進み、とりあえず絹は自分で歩けるくらいには回復していた。

 今日は、ボスと島村が来ることになっていた。

 本当に久しぶりに、二人に会うことになる。

 絹のリハビリ中、ボスも退院できていたのだ。

 少しずつ動けるようになって、絹自身で知ったこともあった。

 彼女がいるところは、病院というよりは、田舎の療養所レベルのところで。

 しかし、そこはアキの故郷でもあった。

 下手な病院より、よほど安全な彼女のテリトリー。

 織田は解体されはしたが、つぶされたほとんどは非合法施設のみで、表の仕事をしている渡部建設などは、いまも存在している。

 ほとぼりがさめるまで、匿われている、という方が現状としては正しいのだろう。

 そこに、二人がやってくる。

 見舞いではなく、この包帯を直々に取ってくださるのだ。

 どんな顔で会えばいいだろう。

 そう思って、絹は苦笑した。

 文字通り、「どんな顔」だ。

 それは、絹の方がよほど気になっている。

 そして。

 今日こそは、きっと聞くことが出来る。

 自分が、本当に自分なのか。

 ノックが聞こえる。

「はい」

 絹は応えた。

 アキは、席を外してくれている。

 絹たちの持つ、独特のサークルを理解しているのだろう。

 あの時、自分が将やアキに対して感じたもののように。