「これ、すっげ腹立たない?」
「き、岸川先輩っ!?」
顔を上げると岸川先輩が
目の前に立っていた
そして、手には校内新聞を持ち眉間にしわを寄せていた
「"期待の星陸上部エース・岸川、タイム伸びず記録会悔敗"だってさ」
ふーっと長く息を吐き、
私の横に座った
「別にさ、俺は期待の星だから陸上やってるわけじゃないのにさ。これだから新聞部は好きじゃないんだよ」
新聞を握りしめ
頭に手を当てた
「まあ、記録が悪いのは本当なんだけどね」
苦笑いをしながらこっちを見た
「そ、そんな、先輩はすごい頑張ってるじゃないですか!私、先輩が走ってる姿、本当に輝いていると思いますよっ」
「…」
「今は調子が悪くても、でも絶対、また記録だって伸びますよ!」
「翔子ちゃんて、言ったっけ?」
「あ、は、はいっ!」
「ありがとう」
にこっと
優しい笑顔をこちらに向けた
「そんなに応援してくれる子がいるなら、俺も弱音吐けないなあ」
八重歯を覗かせながら
私の頭をポンポンと撫でた
"わ、わあああああっ////"
再び顔が熱くなった


