「すみません。遅れました」
扉が開いたと同時に響く声。
大きく、これでもか、ってくらい目を見開いた。
会わなくなって、半年以上経つけど直ぐに分かった。
忘れるはずがない…。
分からないはずがない。
ずっと、ずっと会いたかったその人が、あたしの視界の中にいる。
「…ヒカル」
名前を呼べば、こちらを向く。
あたしと同じくらい目を見開いた。
もう会うつもりは、なかったんだろう。
そうでしょ?
「ソラ?」
ほら、その優しくあたしの名前を呼んでくれる。
変わらない…。
状況がうまく飲み込めないのは、きっとあたしだけじゃない。
うまく回らない頭の中に、一つだけ表せる言葉がある。
会いたかった。
会いたかったんだよ?ヒカル。
「ヒカル」
涙が、嬉し涙がこぼれそうになるのを必死で堪て、笑った。


