「早くー!行きたいとこあるんだからー!!」
「ごめん、ごめんっ」


だんだん地を踏むヒナにヘラッと笑う。


「ヒナ。そらちゃん連れてくのか?」
「うん、そのつもり」
「無理矢理巻き込むなよ」
「大丈夫、大丈夫」

「何の話?」


声を潜めて話すヒナと源さん。

聞けば、「何でもない」とほほえまれた。





「んじゃー源さん、また来るねー」
「おー」


会計を済ませてドアの半分開けてヒナが言う。


「ヒナ待ってよー」

 
あたしは慌てて、おつりとレシートを財布に押し込む。


財布のジッパーを最後までしめて、ヒナの後を追う。


待ってって言ったのにいないしっ。


でもあたしは、ピタッとヒナを追う足を止めて、源さんを振り返る。


「源さん」
「ん?」
「あたし、ここ大好きになりました!また来ますねっ。ありがとうございました!!」
「……あぁ、いつでも来てね」


源さんはフッと笑って、そう言ってくれた。


お店なドアをしめて、ヒナを追った。


カランコロンとドアについた、可愛らしいベルの音が聞こえた。