掌にある太陽とひまわりの小さなブローチ。
ひまわりのブローチを棚に戻す。
隣同士の小さなひまわりと太陽を見て、あたしはフッと笑った。
ヒカルが最初から違う中学に行くって知ってたら、こんな風に隣にいられたのかな。
あの時全てがモノクロに見えていたあたしは、ヒカルの制服をちゃんと見る余裕なんてなかった。
制服さえ分かれば、学校も捜しようがあるのにな…。
ヒカルの隣にいる。
ヒカルの隣で笑う。
あの日から、そんな叶わない馬鹿な想像を、もう何万回とした。
想像するだけで、なんの努力もしない。
何度も何度も、ヒカルの家の前に立った。
でも、もう一歩踏み出したことは一度だってなかった。
「そらー?」
「今行くー!」
キュッとブローチを握った瞬間、ヒナの声が届いた。


