「気に入ったんだね、それ」
「うん」
あたしを見ていれば分かったんだろう。
この写真たてしか、見えていないと思ったんだと思う。
「お、いらっしゃい」
「源さん」
「ヒナか」
「何よ。その残念そうな顔は。友達連れてきた
お店の奥から出てきたのは、少し想像していたお姉さんでも、お婆ちゃんでもなくて。
何というか、背が高くてスラッとしててかっこいい30代くらいのおじさんだった。
源さんと呼ばれたその人は、額から左目を通る大きな傷があって。
でもそれは怖いという印象は全くなくて、かっこいいという印象を与える迫力がある。
だから、やっぱりこんな可愛らしいお店を経営してるなんて思えないんだけど…。
や、もしかしたらこのお店のオーナーの旦那さんとか息子さんとか、かも…。


