沙耶ちゃんの首筋に唇を落とした時だった。
「たっだいまー!」
お約束かのように玄関から声がして。
その声は、妹のかおりで。
がっくりとうな垂れる俺に沙耶ちゃんは、赤い顔で
「……残念だったね」
こっそりと囁く。
お、女って恐ぇー。
今まで俺の腕の中に居た沙耶ちゃんは、簡単に抜け出して
「おかえりー」
なんて大声を出している。
何か最終的には沙耶ちゃんに全部もってかれてる気がするんだけど。
それが悔しかった俺は、下におりようとする沙耶ちゃんの手首を掴み、もう一度引き寄せた。
「また観覧車乗ろうな?」
普段は見れない可愛い沙耶ちゃんが見れるから。
不敵な笑みを浮かべる俺の頬に
「ぜーったい、やだ!」
なんて言いながらキスを残していった。
なぁっ!
勿論、俺はその場にしゃがみ込んじまって。
やっぱ、俺って情けない男なのかもしんねー……。
【壱☆沙耶物語 END】

