でも、それももうお終いみたい。
地上へと降り立った沙耶ちゃんは、もういつものペースで。
「壱人君って、案外……乙女タイプだったんだね」
そんな言葉を残して先々歩いて行ってしまう。
乙女!?
何だ、それ?
「観覧車の頂上でキスなんて……」
ぶぶっと笑った沙耶ちゃんは、さっきの口をパクパクさせてた沙耶ちゃんじゃなくて。
いや、同じ沙耶ちゃんなんだけど!
でも違うくて。
「そ、それは、かおりが…」
かおりが言ってたんだぞ。
『やっぱり恋人同士の1番は観覧車のてっぺんでのキスだよねー』って!
だから、俺はそれを素直にやってみただけで。
それなのに。
それなのに。
こんなに笑われるとは!
かおりの奴、帰ったら……。

