LOVE PRINCESS(壱&沙耶)



「でも……」

「ん? まだ何かあるの?」

「……やっぱり、かおりのこと大事だよね?」


は?
かおり?

かおりの事はさっき解決したんじゃねーの?


「あ、嘘! ごめんなさいっ、今のはなかったことに…」

「って、あぁ!」


沙耶ちゃんの声に被るように出した声は思ったよりも大きくて。

沙耶ちゃんはビクンと肩を震わせた。


「かおりにヤキモチ妬いた?」


その一言に沙耶ちゃんの顔は見る見るうちに赤く染まっていく。


「ちが、そうじゃなくて……えっと、ごめんなさいっ。なんか、私…」


普段の沙耶ちゃんは、冷静に周りを見てるタイプなのに。

今日の沙耶ちゃんは余裕が全くない。


これって、俺だからだよね?


「俺、シスコン卒業したよ?」

「え、嘘!」


にっこり笑って言ったのに、沙耶ちゃんは疑いの目を向ける。

本当なんだけどなぁ。


「嘘って、決めつけかよ」


クスクスと笑ってると『そんなこと言って、かおりに彼氏が出来たら怒るんでしょう?』って、俺信用ねぇな。