「でも……」
「ん? まだ何かあるの?」
「……やっぱり、かおりのこと大事だよね?」
は?
かおり?
かおりの事はさっき解決したんじゃねーの?
「あ、嘘! ごめんなさいっ、今のはなかったことに…」
「って、あぁ!」
沙耶ちゃんの声に被るように出した声は思ったよりも大きくて。
沙耶ちゃんはビクンと肩を震わせた。
「かおりにヤキモチ妬いた?」
その一言に沙耶ちゃんの顔は見る見るうちに赤く染まっていく。
「ちが、そうじゃなくて……えっと、ごめんなさいっ。なんか、私…」
普段の沙耶ちゃんは、冷静に周りを見てるタイプなのに。
今日の沙耶ちゃんは余裕が全くない。
これって、俺だからだよね?
「俺、シスコン卒業したよ?」
「え、嘘!」
にっこり笑って言ったのに、沙耶ちゃんは疑いの目を向ける。
本当なんだけどなぁ。
「嘘って、決めつけかよ」
クスクスと笑ってると『そんなこと言って、かおりに彼氏が出来たら怒るんでしょう?』って、俺信用ねぇな。

