「こんなことしたら……怒る?」
「へ? ……ぎゃーっ!」
俯いた俺はポソッと呟き、両方の窓枠を握って観覧車を思い切り揺らした。
勿論、沙耶ちゃんは死にそうな声を出して叫ぶ。
「い、いち、壱人、君やめてっ!」
そう言われてるのに、俺は立ち上がり
「ちょ、い、壱人君!?」
沙耶ちゃんの隣へ乱暴に座る。
ガタン、と音を立てて観覧車は揺れる。
「い、い、い、いちっ……」
声にならない声で、叫んでいるつもりなのか。
囁いているくらいの声しか出せてない沙耶ちゃんは、隣に座った俺の太ももを押さえて首を大きく横に振った。

