「…え?」


固い壁に倒れるのかと思いきや、フワッと何かに包まれた感触がして、ふいに顔を上げる。


そこには、見たこともない男子の胸にあたしが飛び込んでいる状態。


「え、あ、その…」


思わず状況が上手く把握出来なくて、裏返った声が出る。


とりあえず謝らないと!


あたしは即座に体勢を戻して、謝ろうとした瞬間…


「大丈夫?無茶すんなよ」


無茶って…と思ったが、ちゃんと心配してくれた事に驚いて肩がビクッと震えた。


だって、見た目がすごい不良スタイルなんですもん…


明るい茶髪にYシャツのボタンを胸辺りまで開けて、耳に数個のピアス。


どう見てもあたしと同じ学年ではない。見たことないもん。


その彼は、あたしにぶつかって来た男子を軽く睨むと、男子は視線に気づいたのかこちらを見た。


「す、すいませんでしたっ…!」


ビクッと驚いて今にも腰が抜けそうな震えた声で、不良ボーイに頭を下げる。