『DOLL/by.沃』


言葉には出来ないけれど
詞(ことば)になら出来るかもしれない

想いには出来なくても
念(おも)いになら出来るかもしれない


ボクの心を知らない幼いアナタは
今日も軽々しく“愛してる”を口にし
軽薄にもボクを抱きすくめてくる

けれどボクはただの“人形”で
キミにはただの“ままごと遊び”

毎夜泣いてボクに縋り付き
朝になると平気で部屋に放り捨てる

赦される事のない“感情”を伝える術などないから

虚しく床に転がったまま

 不満を漏らさず
 残酷な仕打ちを甘受し

ただただ虚ろに天井を見上げてキミの帰りを待つしかない

それでも
もしかしたらこの感情を伝える術があるのではないかと…
そうしてそれが報われるのではないかと…

ただただ淡い希望を胸に秘め

愚かなまでに純粋たる思考を巡らせる


言葉には出来ないけれど
詞(ことば)になら出来るかもしれない

想いには出来なくても
念(おも)いになら出来るかもしれない―‐