駅に着いた。
「じゃあね」
私は後ろを振り向き、成宮にそう言った。
それから成宮に背を向けて、駅に入ろうとした時……。
「…………あ、あのさ!」
「えっ?」
背後から成宮の声がして、足を止めて再び振り向いた。
私に近づいてくる成宮。
長い前髪で成宮の表情がわからない。
「あのさ……お、俺は、神崎さんにブランド物のバッグや靴や服とか高い物は買ってあげられない……」
「はい?」
「ホテルの最上階のレストランとか高級なお店にも連れて行ってあげられない」
「はぁ?ちょ、なに言ってんの?」
意味わかんないんだけど?



