「神崎さん、泣いてるの?」 「泣いてなんかないし……」 私は成宮から目を逸らす。 「なんか、あった?」 「だから関係ないって……」 「俺で良かったら話聞くよ?」 成宮って、一人称が俺なんだ。 なんか意外だわ。 絶対に僕だと思ってた。 って、そんなこと知って何になるのよ。 「とりあえずベンチに座って、深呼吸したら落ち着くから、ねっ?」 私は成宮の言葉にベンチに座った。 何で? 何で成宮の言いなりになってるわけ? 成宮が私の隣に座ってくる。 しかも微妙に距離を開けて。